今年、謡曲『呉服』が必要なわけ。

写真提供(公社)金沢能楽会:呉服と同じ衣装を着た松田若子氏

二人の神女としての織姫が舞う御代はよき世となる。。。能「呉服」にはくれはどり(呉服織)とあやはどりという、二人の織姫が登場します。応神天皇の御代、唐土から勅使に伴い日本に渡り、御衣を織り初めたと語ります。そして、今まためでたき御代(新しい天皇の時代)となり、即位のために袞竜(こんりょう)の御衣が帝の御調に供えられるために現れます。織姫の機織る踏木の足音、「きりはたりちょう」という声は悪魔も恐れるのです。舞を舞えば、精霊の妙童菩薩(みょうどうぼさつ)も影向(ようごう)して、夜通し宝の綾が沢山に織られ、大君に捧げられます。二人の織姫が御調物を供える御代は「東南の雲収まり、西北の風も静かにのどかに御代の光があまねく届き、国富み民豊かに誠にめでたき徴」であるのです。